ーー バレンタインの日には; ーー


「好きだ、新八。付き合ってくれ」 一ヶ月程前、昼ご飯の準備中に突然そう言われた。 流れる空気は穏やかで、あまりにも自然で、 『昼飯何?』とでも聞きにきたのかと思う程だったので 思わず・・・ 「はい・・・」 そう答えたんだった ・・・・・・・・・・・・・・・ もうすぐ2月14日バレンタインデー。 僕と銀さんは一応付き合っているらしい・・・; あの時僕の言葉に 「本当か?本当か?本当だなッ!?いいんだなっ!!」 カッと変わった表情と念押しに違うとは言えなかった というか、僕も・・・銀さんが好きだったから・・・・ 銀さんがいなくなった台所で一人体中が熱くなったのを覚えてる あれから一ヶ月。特に何にも無い・・・; 夢でも見てたんだろうか?と本気で不安になる時もある だけど、時々言ってくれる「サンキュ」の言葉と 眼を細めて笑う優しい笑顔に体中で確認した。 銀さんが大好き。って なんにも無くたっていいんだ そう、 伝えたくて・・・ 言いたくて、言いたくて、 そして今日、 一人スーパーに向かっている途中。 チョ・・チョコレートならいいよね;; 男がいきなり手作りなんて気持ち悪いかな? でもバレンタインコーナーなんて入れないかもしれないし・・・ テクテクと考えながら歩いていると一つの人だかりが見えた 女の子達がキャーキャーと集まってる 近づいてみると 「うおー凄いネ!本当に銀ちゃんアル!」 「確かにこらスゲイな、ジイさんやるな」 「どうだい!俺のカラクリ技術でバレンタイン商戦はいただきだな!」 源外さんがまた道端で自慢のカラクリを披露しているみたいだ 「まあ、これは確かに男の目からもいいな」 「それに美味しいアル!モニュモニュ」 「おい!神楽、自分で食うのかよ!」 「まだお嬢ちゃんには早いだろ?」 「それもそうだな。じゃあR16チョコレートってことで、」 何だろう? はぁ〜 あんまり今は会いたくなかったけど 三人に声をかける 「銀さん、何やってるんですか?」 「おっ新八、何だ買い物か?」 「ええ・・まあ・・・」 「新八も作ってもらうネ!チョコレート!」 神楽がさっそくと源外に言った 「何ですか?チョコレート?」 「ああ、そうだなお前も作ってもらえ」 銀さんに背中を押され源外さんの前に立つ そこには昔風な大きなカメラが一つ 「いいけどよぉ、おめぇら金払えよ」 パシャ! あれから、そのまま三人でスーパーへ行き、買い物を済ませ 家に帰ってきた 帰ってきてしまった 結局、銀さんの目の前ではチ○ルチョコレートですら買えなかったのだ; 夕ご飯も食べ終わり今日も一日が終わる頃 神楽ちゃんは自室で眠ったところだ リビングで二人向かい合い座った 「なあ新八、源外のジイさんチョコ出せよ」 「今食べるんですか?」 「いいだろ?もうすぐバレンタインだしよお」 「・・・;;」 「新八チョコ。あれでいいから俺にくれ」 「あっあれでいいんですか?」 「ああ、代わりにお前にはこの銀さんチョコをやろう」 源外さんのカラクリはその場で写した人物ソックリの フィギュアチョコレートを作り出すものだった ビーバー人形程の大きなチョコレートが目の前に出された 題して『私を食べてチョコv』らしい・・・; 「それは・・ちょっと欲しいですけどね」 「だろ?好きなトコから食べていいんだぜ」 まあ、その場の成り行きチョコでも銀さんが欲しがってくれるなら・・・ それも嬉しいかな・・・ 二人でお互いのフィギュアチョコを交換した。 「じゃあ銀さんいただきまぁ〜す。パクっ」 パキン 「ん?」 銀さんが首を上げた時には 「ああっおまっ!イキナリ食うなって!!」 僕は銀さんの首をまるまる食べていた 「ダメだったですか?あっ美味しいvコリコリ」 「もうちょっと楽しんでから食えよな〜」 「楽しむって?」 「よく見ろよ、これ、服は柔らかくって脱がせれるんだぜ、」 「え?」 「ほれ、リアルだろ〜♪」 そう言って銀さんはペロン・・・と・・・・・・・ 「わぁあああああ!やっやめてください!!」 僕は銀さんに机跨いで飛びかかった 「おっとぉ、これは俺の新八だ!お前は黙ってろ!」 だけど銀さんにかわされる 「黙ってられませんよ!そんなっ脱がせないでぇえええ!!」 僕は上半身があらわになっている 「お前には銀さんチョコをやっただろう、好きに脱がせて、食べちゃっていいんだぜ」 「いやだ!そんなの食べられるわけないでしょう!?」 「なんだとっ!!」 ワーワーのギャーギャーだ 「そこで見てろよ新八、俺が新八食っちゃうところ」 ちゅっと銀さんの唇が僕のチョコの僕の唇に触れた 「ゴク・・・」 思わず喉が鳴る 銀さんの唇が僕のチョコの僕の胸にまで下がっていく・・・ そこで舌が・・・ 「ああっ!」 僕が立ち上がると銀さんは反射的にチョコを持った手を上げ 「だからこれは俺のだって!」 僕はかまわず銀さんに飛びついた 「おっ?新八?」 「もおヤダ。やめて下さい見てられない!」 「チョコなんだ、いいだろ〜、ケチケチすんなって」 「ケチケチなんてしてなっ・・・」 ああ・・・もう・・・・ 「食べるなら、ちゃんと新八を食べてっくださいっ!」 「っ?・・・・;」 僕は銀さんにしがみついて、すがるように見上げた 「僕にも・・してください・・・ 僕ダメなんて言った事ないですよ」 言っちゃった・・・ こんな事言うなんて銀さんどう思うか・・ 「っ・・・・いっいいの!?」 「?」 みるみる顔が赤くなるのが分かった 僕も・・銀さんも・・・ 銀さんはチョコのように固まって 僕を見下ろしている ずっと ? ??・・・・;; ???・・・・・;;; 意外と草食系だったんだ;この人;; 翌日 「つっ・・・ふっ・・・・んん」 台所で僕は料理の真っ最中に・・・ 「もうやだ・・神楽ちゃん来ちゃう」 「あいつはテレビに夢中だって、ほらこっち向け」 ちゅうぅぅぅ 昨日の、てか、今までは何だったの!?とばかりに 昨夜からキスばっかりしてる 草食系は撤回!甘食系だよっ;この人!! 銀さんは「我慢してた分をとりもどす」とか言って、 そりゃあ・・・ 僕も我慢してた分嬉しくてたまらないけど これじゃあ・・・ 唇も心臓も、もう限界ですって! 「おっ!何お前チョコ作んの?」 銀さんはやっと僕の手元に気付いた 「いっ一応・・・いいかな〜って思って・・・」 「ふーん」 銀さんは僕の手のボールに指を入れ チョコを舐める 「なあ、チョコクリームも作れよ」 「はい?」 「等身大、新八フィギュアチョコ作って食うんだよ」 「ええっ!?」 「うまいだろうな」 ちゅっ 銀さんは最後に一つキスをして台所を出て行った 新八フィギュアチョコは結局食べられる事はなく銀さんに保管されている なんでも当日に食べるのだとか ちなみに、銀時首なしフィギュアチョコの残りは神楽ちゃんに食べられてた 生クリームっていつまで持つんだっけ? ドキドキ・・・・ 当日はフィギュアチョコと一緒に 新八も食べてもらえるのかもしれない・・・ 銀さんがいなくなった台所で 一人   体中が熱くなった・・・・ おわり

★ここまで読んでくださりありがとうございます!

突然に小説。
ただチョコを作る新八くんを見たかった為。しからば自分で書こうと・・・


H22.2.6 蜜星ルネ







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