「新八ー。今夜は泊まってくよなっ!」
「なんですかイキナリ?」
万事屋台所にて銀時は夕飯を準備する新八に声をかけた。
「泊まってくよなっ!なっ!あっ今日はうんと甘口にしろよ」
「なんなんですか?邪魔しに来たならもうあっちに行ってください」
「とにかくっ!お前は今日泊まってくのな、いいな、」
銀時は言い捨てる様に台所を離れた。
「何?」
新八は首をかしげる・・・
まだ夕方6時。
新八はいつもどおり2人分の食事を作って帰るつもりでいた。
今までも何度か泊まる事はあったのだけれど
特に困る用事もないので、新八はそのまま夕飯に向かう事にした。
・・・・
「ちょっ銀さん食べづらいんですけどっ;;」
「銀ちゃんの脇すっぱい臭いがするアル」
「ほれ〜テレビ観ろ〜面白いぞ〜 わっはっは〜」
「・・・・もう;」
「・・・・むう;」
夕飯時、銀時はソファーに3人並んで座ると言い出した。
3人は流石にキュウキュウのパンパンだ。
しかも、食器の置き様がない。
楽しいのは銀時一人だけみたいだ。
「新八く〜ん、お酌してくれる♪」
「?はい・・・」
キュウキュウの夕飯後、神楽は今お風呂に入っている。
片付けをしていた新八は銀時の呼びかけに少し驚いた。
今までそんな事は言われた事がなかった。
というか、あまり家でお酒を飲んだりしない人だ。
いつも飲む時は出掛けてしまうのに・・・
「なあ〜」
「あっはい・・・」
新八はあわてて銀時のグラスにお酒を注いだ。
トクトクトクと注がれるさまを見て銀時の眼が笑った。
新八にはそう見えた。
「・・・・銀さん、今日はどうしたんですか?何か・・・」
「えっ なっ・・嫌だったか;」
「そうじゃないですけど、何か・・・」
新八もつられて笑ってしまう。
「さっさてと、そうだな、良し。今夜は神楽も一緒に3人で寝るかな」
「ええっ!それは神楽ちゃん嫌がりますよ!」
「何だよ、前にも一緒に寝たろ〜」
「でも銀さん、またクサイとかって言われちゃいますよ・・・」
「・・・・;;」
なんだろう。今日の銀さんは・・・
「いいだろ〜が 今日は特別なんだよ・・・」
「!」
なんだろう・・・
「わ、わかりました。じゃあ僕から神楽ちゃんに言いますから!」
「おお」
「銀さんは神楽ちゃんのお布団には触っちゃダメですからねっ!」
「おお!」
そう言って新八は隣の和室に布団を敷き始めた。
神楽が風呂から出てくる。
二人で神楽の布団を持ち出している。
銀時はそれをソファに座って一人眺めた。
目尻が痛む・・・
手の平が熱い・・・
なんだろう・・・なんだろうなこりは・・・
去年は一人で酒を飲んだ。
来年もそうだろうと思った。
だけど、
今年は3人で寝るんだ。
来年もそれがいいなと願った。
布団が敷けたと呼んだ二人に銀時は笑って返事を返した。
おわり