ーー 新八きゅん登場! ーー


カンカンカンカン 「あの〜あのね新八君。」 カンカンカンカン 「はい?」 ノーパンしゃぶしゃぶ天国から無事お妙を救出した二人は、並んで万事屋へ帰って来ていた。 と、言っても新八は銀時の後ろをしがみついてきただけ。 階段を上り、玄関に手をかけた銀時は、もう一度おそるおそるたずねた。 「あの〜本当にウチで働く事にしちゃってんの?」 「本当言うとさぁ〜俺もさぁ〜仕事らしい仕事って〜〜」 「もうっ アンタのせいでバイト駄目になっちゃったんですから。ちゃんと責任とって もらうんですっ!姉上にもそう言ってきちゃったんですから」 「あっそ〜う〜。まあいいんだけどさぁ。中入ってもあんまりビックリしないでね」 「はい?」 ガラガラガラ 「じゃぁどうぞ〜・・・;新八君いらっしゃ〜い・・・;;」 「あっ、どうも。おじゃまします。(ペコリ)」 中へと通された新八は、 「っ・・・・・・!?」 「ああ ちっと散らかってるけど、適当にしちゃって」 「なんじゃこりゃぁぁぁぁ・・・・・・!!!!」 新八が通された部屋は足の踏み場が無い程、ゴミと雑誌の山で埋まっていた。 「さてと、これでよしっと・・・・・・」  新八は、日がどっぷりと浸かる真夜中まで部屋の片付けをしていた。 燃えるゴミ、燃えないゴミ、プラスチックに、雑誌、新聞紙、 っていうかなんでこの家にはゴミ箱がないんだろう・・・・・・ この男がせっせと掃除をする姿は想像出来ないけど、 まぁゴミの分別をする姿も想像出来ないけどね。 「おお〜 やりゃー出来るもんだなぁ〜。」  新八がチラリと横を見やれば、この家の主は悠々とソファに寝転がりジャンプ片手に新八 の姿を眺めていた。 その男はジャンプ片手に・・・・・・ 「ってあぁぁぁぁぁぁっ!!なんで開けちゃってるんですかっ折角束ねたのに!」 「お前。これは先々週のジャンプよ。まだ捨てるに早ぇぇだろ」 「ってあぁぁっ!!こっちもあっちも開けちゃってるし!」 「だってよぉ。これは先週のジャンプでぇ あれは今週のジャンプでぇ〜」 「・・・・・・」  新八は、余ったジャンプの山もまた束ね直す。 アホみたいだ。アホみたいだ。いい大人がジャンプだなんてアホみたいだ! 僕、ここで働くのはもう少し考え直した方がいいのかな。 その時・・・・ ジリジリジリジリィィィっ!! 電話の鳴る音。 「おっ なんだぁこんな時間によお」 「ああ、僕出ます」 「はい万事屋です。 ああ姉上、ええっもうそんな時間ですかっ」 「(?)」 「はい はい はい、わかりました」 チン 「姉ちゃん心配してたか?」 さして興味もないのか銀時はジャンプより目を離さずに声をかけた。 「はい。早く帰ってこいと言われました」 新八は少し躊躇った顔でソファに寝転がる銀時を見下ろす。 「(?)なんだよ。だったら早く帰れよ」 「はい。 あの・・・・・・でも〜」 「なんだよ?」 「あんたに送ってもらえって姉上が・・・・・・」 「はっ?・・・・・・」 「もう10時過ぎてますし、夜道は危険だからって姉上が・・・」 「なんで」 「すいませんっ それか今夜は泊めさせてもらえって、姉上が・・・・・・」 「だから何で?」 「だから姉上が・・・・・・」 銀時はジャンプを閉じ、聞いてか聞かずか風呂場へと足を向ける。 「っんだよ お前男だろ〜 夜道に危険もクソもあるかよ」 「でもっ、姉上の言う事は聞かないと半殺しにされてしまいます!」 「はっ 姉ちゃんが恐いだなんて、お前はガキだな〜ははん」 「いえ、僕ではなくあんたが」 「・・・・・・・;」 「あっそそうなの〜。じゃぁ銀さん送っちゃおうかなぁ〜 あははは・・・・・・」 「でもいいです。わざわざ送ってもらうだなんて悪いですし、僕帰りますね」 新八はそのまま玄関へと銀時の横を通りぬける。 「お前姉ちゃんはいいのか?このままじゃ銀さん殺されちまうんだろ」 「姉上はちょっと心配性なんです。いつも」 「お金無いのに夜間のバイトは駄目とか、あれは危ない、これは危険だって言ったりして僕 は全然平気なんですけどね」 「なるほど」 この姉弟がお互いを思い合いながら今まで暮してきただろう事は、今日一日の出来事で銀時 にも感じることが出来た。 「あんたの事なら大丈夫です。うまくごまかして帰りますから」 うまくって、どうやんのよ。あの姉ちゃんに・・・・・・ 心配性で今頃ハラハラしながら弟の帰り待ってるんだろ。 お前に何かあったらどうすんのよ。 スッ 新八はわらじを手に、急に背後が暗くなったのを感じた。 思わず振りかえる。 「・・・・・・?」 「待てよ。 ヘルメット忘れるなよ」 「はい?」 「あの、お風呂沸きましたよ」 「おっおおお・・・」  新八が家に連絡の電話を入れたのは30分程前。 『送る』の譲り合いの中、なかなか受け入れない新八に 『だったら泊まってけぇ!』と提案したのは銀時だった。 「いや〜 わるいね新八君」 「いえ これくらいは・・・不本意とはいえ泊めてもらうわけだし」 「あそう じゃあついでに布団も敷いといてちょんまげ。俺風呂あがったらすぐ寝ちゃうから」 「あ〜もう、はいはい。早く行って下さい。僕も次にいただきますから」 ふう。 風呂場からシャワーの音が聞こえだし、新八はやっと落ち着いて息を吐いた。 だけど何でこの家の風呂場には石鹸が無いんだろう・・・・・・ あの男がせかせかと清潔にしてる姿は想像出来ないけど・・・・・・ ってちゃんと体洗ってんのか?! なんだかこの家には、まだまだ無いものがありそうだな。 「ってあれ?」 新八は屋敷をうろうろ回った。 「あれ? えっと 本当に一組しか無い?」 寝室に戻り、今しがた敷いた煎餅布団の前で立ち込んでしまう。 布団が一組しか無い。屋敷中探したのだ。 「ええと〜 んと〜 」 「何だよ」 「っだぁ!」 「?」 振り返ると奴がいた。 「あっあああ・・・ 早いですね」 「おっ ちゃんと敷いてるじゃん」 銀時はスタリスタリと中へ入ると腰を降ろす。 つられて新八も腰を降ろす。 「あの・・・ あのですね」 「だから何だよ?」 「僕は何所で寝たらいいんでしょうか」 「は?・・・・・・」 「っ・・・・・・。 こっここ?」 この人言うだけ言って何も考えてなかったな・・・。 「はははっ; ホラ〜 新八君はこう寝てっ」 ぐいっ 「わっ」 新八は無理矢理布団に押し込められた。 そして、銀時もそのまま布団に入る。 「俺はこっち向きで寝れば〜 ほらっ顔が向かい合わなくて済むだろ」 「って、これって あんたの足と向かい合っちゃってんですけど;;」 「大丈夫だって、それは掛け布団の一部だからv」 「もう何言って・・・ ってクサっ!」 「おいおいそんなゲロ嗅ぐような言い方・・・」 ドサッ 「・・・・・新八君?」 銀時は布団から顔を上げた。 「って新八くん。その冗談は銀さん傷ついちゃうからやめれ」 ・・・・・・; 「新八――!」 ガバリッ 「えっ ちょっマジなの? マジ俺の足って人殺せちゃうのっ? マジ兵器じゃん;」 銀時は新八の体を腕に抱え、顔をのぞき込んだ。 新八はピクリとも動かない。 眼鏡をはずしてやる。 やはり動かない。 ふと目を止めると、瞼を閉じた新八きゅんの顔があった。 ゴクリ 似ているとは思ったが、姉に似た新八きゅんの顔は・・・・なんつ――の こう。。。 ってちが――っう! 何考えてんだっつ――の! 問題はソコじゃねぇ!! 俺の足だっつ――の!! 「許せ新八。俺も今すぐいくからな」 銀時は腕の中に新八をしっかり抱えながら・・・おのれの足を・・・・ くんくん 「ぐっはっっ!! こりゃ・・・やべぇ・・・・」 ドサリッ チュンチュン 朝の光、澄んだ空気。 新八は雀の鳴く声と日の光に目が覚めた まま固まった。 最初、目の前のそれが何なのかハッキリとわからなかったのだが、 頭の上で聞こえる確かな寝息の音に、自分の状況を高速で理解したのだ。 新八は銀時の腕に抱えられていた。 しかも、何だかガッチリと;; こっこれは一体・・・・・ 僕は昨日一体・・・・・・ っていうかこの人は一体何やって・・・・・・ 「っうん」 ドッキッ お起きたかな;; ぎゅうっっ ぎゅうぎゅうっっ 「えっ何?」 「っうん・・・しっ しん・・ぱち・・・・・・」 「・・・・・・・・;;;;」 「っだぁぁあぁあああああああああっ!!」(新八) 「っだああっっ! っあ?」(銀時) チュンチュン おお!新八っ!生きてたか!? と銀時はガッチリ抱えた腕の中に呼びかけていた。 カチンコチンの新八きゅんに。 「というわけで今日は買い物に行きましょうよ。この家には足りないものだらけなんです」 「ああ? まあ、どうせ暇だからいいけどぉ」 「何ですか。その煮え切らない態度は」 銀時はジャンプ片手にソファに横になり、目の前に座る新八を見上げた。 新八は今日の買い物リストだと、朝から屋敷中を調べあげて作ったらしいメモを一枚握っている。 「だぁってよお。お前本当にウチで働く事にしちゃってんの?」 「だから、あんたに僕の責任とってもらう事に決めたんですから。」 「銀さんに?」 「・・・銀さんに」 部屋にはジャンプが何冊かころがっている。 1ヶ月分のジャンプを捨てる事は早々にあきらめた。 手元のメモには『おやつ』の文字だって入ってる。 まだ何かあるのだろうか・・・・・・。 「じゃあ布団。そのメモに一緒に書いとけ」 「えっ?」 「あ――なんだ、お前のだよ」 「・・・・・・」 「っと、おら、ヘルメット忘れんなよ」 「・・・はい」 銀時は照れ隠しなのか、立ち上がると足早に玄関に向かう。 それが背中からも感じられた。 つられてしまうではないか。 新八は慌てて銀時の後へ、玄関に向かう。 銀時はすでに靴に手をかけている。 「あ・・・ぎ銀さん・・・」 「ああ?」 ふわり・・・ 「あっありがとうございます。」 「っ・・・おっおおっおお;」 びっくりした。でも嬉しいや。 昨日の今日だけど、銀さんがいい人なのは十分わかってる。 だけど・・・今はもっと温かいものを感じた・・・・・・  そうして、新八はそのままわらじを履く順番を待った。 「・・・・・・っお前な;」 「?」 新八はそのままわらじを履く順番を待った。 「?・・・」 新八はそのままわらじを履く順番を待った。 「・・・・・・;」 そういえば・・・・ 笑った顔は初めてだったのだ。 おわり

★お初銀新小説〜☆
まだ銀新とは名のれないですが・・・
これからジョジョにっ!!

もうキャラ萌えなんっすよ!
『きゅん』は萌え所の誇大表現として使わせていただきました。「ほ〜らほら萌えポインツだよ〜」な私の心の表れっ

これから
お客様が、萌えて・笑えて・悶えてくださる様な小説が書けるように精進したいと思います。
\(*T▽T*)/ H18.5.17 蜜星ルネ








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