ーー 一週間後 ーー


最初はお腹だった 夜、布団を並べて眠る中 「手が寒い」と、「冷えた」のだと、 そう言って銀さんは僕の布団にもぐり込み 僕のお腹に手を入れた あれから一週間 銀さんは毎晩僕のお腹を触ってくる 初めての夜は、銀さんの手は浴衣の中に入ってきて、 じっと温め、しばらくしたら出ていった ただそれだけだったのに・・・ だんだん・・・ 脇腹の方まで入ってきて、 だんだん・・・ 触られて、撫でられて、 だんだん・・・ 背中にまで腕がまわってくる こうくっつかれると 銀さんとの体格の差がはっきりわかる 銀さんの腕の太さも 銀さんの掌の熱さも 銀さんに包まれている感じが優しくて嬉しくて 僕はついそのまま眠りに落ちてしまうのだ 子供なんだと思ってた アイドルおたくだか、親衛隊だかなんだか知らねぇが 結局、その先を夢にも見ねぇ子供 簡単そうだなと、 他の奴等にとってもそうなのかもしれねぇ いや、実際簡単だろう それに面白そうだった 力づくでも、押し通しでも、 熱烈な愛の告白なんかしたらきっと一発だ うまくやれば 惚れた腫れたもない、かけひきもいらない 俺の好きな時に体を開く 俺の新八が出来上がる 見ろよ・・・ 俺の腕の中で安心してスヤスヤと眠ってる 背中まで肌蹴た浴衣は気休め程度に腕にかかって ああ・・・ おっぱいが丸見えだ 一週間でどうなるか 喜んで素っ裸になる子になろうな な!新八くん! 最初の一週間は違った!こうじゃなかった!? お腹を胸を触られて、擦られて、撫で回される 「ふっうん・・・」 息が漏れるのが恥ずかしい 銀さんに聞かれてるかと思うといてもいられなくなる 「んっ・・・」 口はつぐんでいるのに止まらない 止まらない・・・ どうしよう・・・ 「ぎっ銀さん・・」手が・・・手が・・・ 「・・・・」 僕の体を・・・銀さんの手が・・・ 「もうやだ、もう放してください!」 新八は逃げる様に銀時の腕からすり抜けた 両手は胸の前で合わせている 「はぁはぁ・・・」 銀時は片腕に頭を乗せて横向きに後ろから新八を眺めた 成長途中の、いや男にしては狭い背中が大きく息をついているのが分かった 後ろから声をかける 「なんだよ。昨日だってしたろ?」 「あ・・・昨日は・・・」 「昨日もその前も、毎晩触らせてくれたじゃねぇの」 「うっ・・っ・・・」 「なあ新八」 銀時はそっと新八の背中にぴっとりとくっつき腕をまわす 「なあ新八・・・」 耳元で囁かれた 熱い なんか銀さん・・・ なんか 銀さんやらしい・・・ ドクン・・・ 心臓が跳ね上がったのを感じた 次第にドキドキが止まらない やらしい、やらしいよ ずっと胸ばっかり、撫でられて、時々ぎゅううって掴まれたり 僕・・・ 僕男なのに! 「新八?なあ新八・・・?」 「・・・・」 返事は無い 銀時は一つ息をついて、新八の腕にひっかかったままの浴衣を肩にかけてやる 「もういいよ、お休み」 銀時はそのまま新八の布団を出ていった 「・・・・」 昨夜はなかなか眠れなかった 銀さんがあんな風に触るから・・・ あんな事するから眠れなくなっちゃったんだ 朝食を3人で食べた後、新八は片付けに一人台所に立っていた 朝からボーっとした新八は食器を洗う手も止まったままだった はっと気がつき、また手を動かす 「う〜・・・もう・・・」 その時 「おい新八」 「はっはいぃ!!」 銀時に後ろから声をかけられて、思わす背筋が立った たった今頭の中で考えてた男は昨夜の事は『何の事?』とばかりに平然と入ってくる 「茶ぁ淹れるっつったろ?まだかよ」 「えっああ!今淹れますねっ!」 新八はあわててお茶っ葉に手を伸ばした 「おっおい!手ぇ泡だらけだぞ」 食器洗いの途中だった手に気がついた銀時は新八の手を掴んだ 掴まれた新八はふり返り二人は思わず目を合わせる 「あっすいません;」 「・・・・」 しばしの沈黙 ジャー 新八は手の泡を流れ落とした 銀時にその姿を横からじっと見られている なんだろう・・・ 心臓がドキドキしているのがわかった 銀さんがあんな事するから・・・ 緊張する様になっちゃったんだ! 「あの・・僕、お茶淹れてきますから・・向こうで待っててください」 「ああ頼むわ」 スッと出ていく銀時 ドキドキが止まらない 『なあ新八・・・』 昨夜最後の言葉が耳に残っていた いつもより低くて、いつもより優しくて、 どうしよう・・・ 「今僕変な顔してそう・・・」 「銀ちゃん何アルか?」 「えっ?は?」 リビングに戻りテレビをつけた銀時に神楽が寄って来た 「なんかニヤニヤして・・・ニュース楽しいアルか?」 「あっああ;」 神楽はそのまま銀時の隣に座った テレビからはいつもどおりの朝のニュースが流れていた 「銀ちゃん今日は何するアルか?仕事あるアルか?」 「仕事は今日も無いナルな」 「新八怒るかもネ」 「新八くんは今それどころじゃねーから。暫くは怒られる事はねーわな」 「いや・・これからはずっと怒られる事は無いかもしれねー」 うんうんと銀時は顎に手をあてて言った 「なんでネ?」 「まあこれからはやりたい放題っつーわけだ!お前も今日は遊びに行って来ていーぞ」 「まじでか!私も怒られないアルか!?」 「おお。銀さんが怒らせたりしないさ」 「うおー!銀ちゃん凄いネっ!」 神楽は喜んで銀時に飛びついた 「銀さーんお茶お待たせしましたぁ」 お盆に3人分のお茶を乗せた新八が入って来た 「銀ちゃん大好きぃ〜!!」 ちょうど神楽が銀時に抱きついた所だった 「・・・・!」 銀時はフッと笑って片腕で神楽を抱き留めた 神楽の両腕は銀時の首を回っている 「なっ・・・何やってるんですかっ!?」 ガッシャーン!お盆ごとお茶を床にぶちまけた 「「は?」」 二人同時に新八の方へ顔を向ける 「あー!新八!何やってるアルかー!?」 惨状に一番に反応した神楽が新八に向かった 「かっ・・神楽ちゃんこそ何やってるんだよっ!?そんなはしたないっ!!」 「!・・・ん?」 「・・・・・・」 銀時が一つ息を呑む・・・ 「おいおい、それよりまず床を拭け、神楽雑巾取ってこい」 「え〜!わかったアル!!」 バタバタバタ 銀時は腰を屈んで落とした湯呑みを片付け出した 運良く割れる事はなかった 「ぎ・・銀さん・・・」 「んー?」 「・・・・すみません僕手がすべって・・・」 「あー・・まあしょうがねぇだろ、ほれ」 湯呑みをお盆ごと銀時から手渡された 無意識に受け取る 「ぎ・・銀さんって・・・」 「銀ちゃん!パース!!」 ぶんっと神楽の雑巾速球が飛んできた 「いったぁ!」 運悪く新八の尻に当る ボテっと転がる雑巾を拾って銀時は床を拭き始めた 「神楽、わざと狙うのは止めろって、新八避けれねぇから無理だ」 「だからやってるアル」 「もう!神楽ちゃんっ!!」 「駄目だって、新八の大事な尻の形が変わっちまうだろ」 「俺の楽しみが無くなっちまう」 ドキン・・・ 胸が高鳴ったのが分かった 最後の言葉は神楽には届かなかったかもしれない だけど、新八の耳にははっきりと届いたのだ やだ・・・ また思い出しちゃう・・・ でもお尻はまだ触られては・・・ ああ〜ほらっまた!僕のバカ!! 「よし、今日は仕事もねぇし、行くなら行ってもいいぞ」 「ほんとアルかっ!じゃぁ定春遊びに行くアルよー!」 あっという間に神楽が出掛けてしまった 結局神楽には食後のお茶を出しそびれてしまった 今は再度淹れたお茶を銀時と向かい合わせで飲んでいる 新八の気もやっと落ち着いてきた チャラーン テレビの番組が変わった。OP曲が響く 「おっ!よいせっと」 銀時が湯呑みを手に新八の座るソファーにやってきた 「なっなんでこっちに来るんですか?」 「は?こっちの方がテレビが見れるだろ」 確かに・・・ 「じゃぁ僕そっちに行きますね」 スっと立ち上がる新八 「おい」 「はい?」 「お前も見るだろ座れって」 「いえ、テレビはいいですし、すぐお洗濯もするし」 「いいから座れって!」 ぐいっっと気付くとやや乱暴に引っ張られた 座らせようとしたのだろう だが、新八の体はバランスを崩して 「わ!」 銀時の体に飛び込んでしまった 「おっと!よいせ」 銀時は座ったまま新八を軽々と持ち上げ片膝の上に乗せた 逃げない様に太い腕は新八の体を回っている 「う・・・;」 先程の神楽の状況と変わりない自分の体勢に嫌な考えが頭をよぎる 「銀さん・・・」 「ん〜?」 銀時はそのままテレビに入った 今から結野アナのコーナーが始まるのだ新八もそれは知っていた だから聞きやすいかもしれない 「銀さんって神楽ちゃんにも・・すっするんですか?」 「・・・・」銀時の動きが止まった う・・・;やっぱ言わなかった方が・・・ 「何?新八くん気にしてんの?」ニヤン う・・・・;こっち向いた・・・こわい; 「だってさっき・・・」 「さっきのは、たまたま神楽が飛び掛ってきただけだって、焼くな焼くな」 「何ですかそれ・・・」 「僕が家に帰った時とか、二人で寝るとか・・・いいんですけど」 「神楽ちゃん女の子だからあんまり・・・すっするのは良くないと思います」 「ちょっと待て、お前どこまでいってんの?」 「銀さん夜寒いと人のお布団の中に入っちゃうでしょ」 「おお!そうだった。そういう設定だったわ!」 「でも神楽ちゃん女の子だから・・・あんまり・・・・」 「しねぇよ」 「えっ・・・」 「あーほらっ結野アナ終わっちまったじゃねぇか!」 銀時はそのまま空いた手でテレビの電源を切った 「・・・・・」 「女にはしねぇよ。というか、一緒に住んじまってるからな〜後々面倒だし」 「その点、新八くんは男の子だし〜銀さんの事嫌になったりしねぇだろ?」 「?・・・なんで銀さんの事嫌になるんですか?」 「そ、やんなっちゃうよね。あー新八くんが男の子でホント良かったわ!」 「はい・・ ん?あっ・・・!銀さん!!」 「形は変わってないな!よしよし」 腰に回られてた腕が下へと下がり、新八の尻の形を撫でる 「んう・・もう!」 ゾワゾワとしたものが背筋を走って、新八は立ち上がった 「お・・洗濯して来ますっ;」 「おおご苦労さん」 銀時は転がってるジャンプを手に取りソファに寝そべる パタパタと新八の音が聞こえた いい尻だった・・・マジで楽しみだわ〜 なんで銀さんを嫌になるんだろう・・・? あ・・・ 今、お尻触られちゃった・・・;; その後は二人いつも通りの日常を過ごした 適当に昼飯を食べ、銀時はだらけ、新八は好きな掃除をした 神楽も帰って来て3人家族の夕食をとる 「神楽先風呂入れー」 「あーい!」 いつも通りの夜 新八はいつも通り今夜も万事屋に泊まりだ お妙から彼女が休日以外の日は泊まってくる様に言われている 夜を一人にさせるのは心配だと、銀時もお妙に直接頼まれていた 「う〜ん でも何か言うかなぁ〜」 神楽がお風呂、銀時がテレビを見ている中、新八は和室で布団を敷いていた 2組並んだ布団 その2つには隙間を開けて新八は並べた 銀時がゴロリと自分の布団に来やすい様に最近ではピットリとくっつけていたのだ 今日は離れて並べると何か言われるかもしれないと思って 一人考え中・・・ だって昨夜みたいになるのは恥ずかしいし・・・ ぎゅうぎゅうされるからうまく眠れない・・・ 「おーい新八ー!神楽出たぞー!」 「あっはーい!」 3番目の銀時が風呂から出た頃 神楽は自分の部屋に入っていた 新八も明日のご飯の準備を終えた 「結構傷つくじゃねぇの」 「銀さん?」 和室前で動きの止まった銀時に新八は後ろから声を掛ける 中に入れない・・・ 「新八」 くるり後ろを向く 「はい」 「銀さんと寝るのはそんなに嫌だったか?」 「う・・・;銀さんの事は嫌になってないですよ・・・」 ちゃんと聞こえたのだろうか銀時は中へ入っていく 「昨夜みたいに、なんかずっとされるのは・・・ちょっと・・・」 「嫌なんだな」 腰を下ろす 新八も布団の上に座った 「あーわかったよ」 「!」 「嫌がられちゃな、あーあ 折角気持ち良く寝れたのになぁ〜」 「すいません;」 ボリボリと頭をかく姿 悪い事をしてしまったと思った、 銀さんは自分と寝るのを良く思ってくれてたんだ・・・ あの・・・ちょっとだけならいいですよ って何か偉そうで言えるわけがない! 「あの・・・じゃあお休みなさい」 「ああ、お休み」 プチンと灯りを消して布団を被った 「・・・・」 「・・・・・・・」 「・・・・・・・・・・・」 何分経ったのだろうか 眠れない・・・ なんかうまく眠れない・・・ 今日は何にもされてないのに・・・ やらしいことは何も・・・ 銀さんは? コロリと寝返りを打つ、眼があった 「・・・;」 「寝れないか?」 頷く 「俺もだ」 歌舞伎町の夜は長い 窓からは夜の街の明かりが映る 「新八・・・腕枕してやろうか?」 銀時は新八に腕を出してみせた 「!」 「こうすればお前はすぐ眠れるよ」 「なあ、俺もすぐ眠れるんだよ」 うそだ・・・! ドキドキして眠れない! 銀時に誘われるがまま新八は銀時の布団にもぐりこんだ 腕枕をしてもらい、二人ぴっとりくっついて・・・ ドキドキドキ 「・・・・;;;」 その時、スッっと頭に手がのった 指の動きで撫でられる あ・・・優しい・・気持ちいい・・・ 新八はやめて欲しくなくて、出来る限り頭を動かさないようにじっとした 「新八、頭気持ちいいだろ?」 ギクッ!? 「お前はこうしてやるとすぐ眠っちまう、いいよずっとしててやるから」 銀時は新八に顔を寄せて尚頭を撫でてくれた 「あ・・・銀・・さ・・・」 「ん?」 「あの・・・お腹・・・」 「おなか?」 ポンと銀時の片方の手が新八のお腹の上に乗った 注意がそれて、頭を撫でる手の動きは止まってしまった 浴衣ごしに銀時の掌の温かさを感じる、頭にも だけど、どちらも動こうとしない 撫でてくれない 「あの・・ぎっ銀さん・・・」 銀時に擦り寄り身じろぐ 「うん・・・嫌だったんじゃねぇの?」 「あ・・・いやじゃ・・・ないです・・」 スッ・・・お腹の手が撫でてくれた でも、浴衣の上からじゃ・・・ 「ふ・・・」 新八は胸を肌蹴させ自ら銀時の手を招き入れた 「いいの?銀さん止まんないよ?」 「あ・・・」 早く・・・早く・・・ 「新八のおなか柔らかくてすっげぇ好き」 するする もっと・・・もっと・・・ 「ふあぁん・・・」 新八は眼をぎゅっと瞑って銀時の手の動きを追いかけた お腹に胸に背中に腕に 「ふうっ・・ん・・・ん・・・・あんっ・・・」 両腕に引っかかっただけの浴衣 手は銀時の浴衣の襟を握りしめてる 閉じた瞳 もう声を抑える気はないらしい 「あ・・・ぎ・・さ・・・」 「新八・・・」 ニヤリと・・・ 闇夜の月には銀時の表情がはっきりと映された さあ一週間後・・・・・・ つづくかもしれない
★ここまで読んでくださりありがとうございます!

「絵露はやらないんですか?」の一言をもらって・・・
「じぁあやっか」なノリで・・・・
でも慣れてないからXから;Zは今の私には夢です。
1話のつもりでしたが続きを書きたくなってしまいました;


H20.9. 蜜星ルネ







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