ーー Daddy's love ーー


『みなさんこんにちは。ワイドショーTHEEDOの時間です』 ちゃらっちゃ〜ん 「またこれか。神楽。お前少しはガキらしいテレビ見ろよな」 「銀ちゃん。やっと起きたアルか?」 時はおよそ正午。 銀時は今やっと起きたところだ。 「大人にはな。っと、いろいろと付き合いがあんだよ」 そのまま神楽の横に腰を降ろした。 「でも、あんまりお酒ばっかり飲むと新八が泣くネ」 「なんで新八が泣くんだよ」 「じゃあ新八が怒るネ」 「新八が怒るのはいつもの事だろ。あー気持ちワル」 「新八、銀ちゃんのせいでお家は火あぶり車って言ってたネ。コレ銀ちゃん 甲斐性なしって意味ヨ」 「・・・・・・」 『はい。花野です。今日は巷でウワサの「ゴールデン・ダディ」の取材にかぶき 町にやって来ました。』 「なんだぁ近所じゃねぇか」 「銀ちゃん知らないアルか?今凄い有名ネ。ゴールデン・ダディ」 『一夫一妻が常識の今、一夫19妻!20人の大家族のご主人です!』 「そらすげぇぇーな。おい。ハ〜レムじゃん」 「ダディは偉いネ。朝は新聞配達、昼は会社勤め、夜はコンビニ、深夜は占い師 で19人の妻は3食昼寝間食付きの待遇ネ。ダディに入りたいって女が後をたた ないらしいアル」 「そらスゲーな・・・・・・」 「ホラあのスキンヘッド、あれがゴールデンの称号ネ。超カッコイイネ」 そうして神楽が指したテレビには、神楽程の体格の小さいおっさんが映っている。 「スっストレスなんじゃ・・・ね? なあ、あのおっさん今にも倒れそうじゃねぇか?」 「何言ってルネ!ホレ観てみ」 『わわわわ私は・・・っゲホ、ゴホ。失礼。妻達のほんの一瞬の笑顔が見られれば・・・ ッウっ ゴホッゴフッ!!あっ・・・血が・・・・・・』 『・・・・・・はい。本日はかぶき町より中継でした』 ザ―――― 「・・・・・・;」 「ああ!超カッコイイネ!私も3食昼寝間食付きに行きたいアル!!」 神楽は感動のあまりか、ピョンとソファーから立ち上がって言った。 「・・・・お前は十分3食昼寝酢コンブ付きだろうがよ」 日本世帯が昼飯のほんわか香りに包まれたころ 新八も昼食の準備を済ませ、ひょっこりと顔を出した。 「神楽ちゃん。ごめんねぇ。今お昼出来上がるからねぇぇ―ぇぇえええっ!!」 「何やってんですかぁぁああ!あんたらぁぁあああっ!!」 アホの二人は傍から見れば、完全な殴り合いのケンカをおっぱじめていた。 「止めるな新八、今日こそはこの小娘に遠慮というものを叩き込んでやる!」 「甲斐性なしのマダオが何言うネ! そういう事は新八にまともなお金あげてから 言うネっ!」 ドカッ 「もうご飯だから、銀さんもまだ何も食べてないでしょう。お昼にしましょうねっね」 ドカッ バキッ ドッカーン 「って、ちょっとぉぉぉー!あんたら二人!この家破壊する気かぁぁあああ!!」 「私知ってるネっ!新八、銀ちゃんに内緒でキャラメルおまけの内職してるネッ!」 「っ何!・・・」 「神楽ちゃんっ!」 銀時の動きが止まった。 「なんだそれっ本当か。新八!」 「それは・・・っ・・・う・・・」 新八の表情がこわばる。 えっ何?マジなの?マジに・・ 「スキありぃぃぃいいい!!」 ドドドッカーン 「ああああ!銀さぁぁぁん!!」 銀時がふっとんだ。神楽の直球ど真ん中ケリで。テレビまで巻き込んで。 新八はそのまま銀時に駆け寄る。 「大丈夫ですかっ銀さん!ああ・・ケガとかしてなきゃいいけど」 「ヘでもねーゼ!アルネ」 神楽は後ろでガッツポーズをとった。 「もう!やり過ぎだよ神楽ちゃん。テレビが壊れちゃったらどうするの。新しいの なんて買えないからね」 「それは嫌アルな」 「でしょう」 「ってテレビかよ・・・・・・」 「あ、大丈夫ですか銀さ・・・ っ・・・・・・」 「ああっ!銀ちゃん!!」 「ん?」 二人は急に静かになった。 というよりなんか硬直してね? なんだぁ? 銀時は二人の視線を辿った。 自然とその先は銀時の手元に・・・。 「・・・・・・えっと、これって・・・もしかして;;」 「それ新八のCDウォークマンネ。コナゴナアル」 「・・・・えっとぉ。ははは;」 「なんでこ〜なるの ってかぁ〜。あ〜もうっ」 ブロロロ〜 朝昼飯を食べそこねた銀時はバイクで街まで来ていた。 目的は、代わりのCDを買う為に。 破損したCDの、代わりのCDを買う為に。 「お通ちゃん」の、破損したCDの、代わりのCDを買う為に・・・ 「あああっ!!これお通ちゃんの新曲っコナゴナ・・・ひどいよぉ銀さんっ!!」 「ひどいっておめぇ、今までの一連の動きを見てただろぉ〜神楽だ神楽!」 コナゴナCDと新八に噛み付かれ、銀時は焦る。 「うう〜すぐ人のせいにするアル〜新八〜銀ちゃんヒドイアル〜」 「女の子のせいにするなんて、神楽ちゃんはちょっとふざけてただけなのに!」 グスングスンと二人は寄り添い銀時に背中を向けた。 「なっなっちょっと待てえ!」 ・・・という感じだったのだ。 銀時はバイクから降りた。ここで4件目のCDショップだ。 「は?ネエの?お通ちゃんだぜ。あいつ新曲って言ってたぜ」 「はい。お客様、残念ですが当店では取り扱ってない商品のようです」 「どこも売り切れかよ。なあ?この辺、デッカイCD屋って何所?そこならあるだろ」 「いえ、お客様。その商品は・・・」 「ああ?」 「銀ちゃん遅いアルな。どこかで買い食いしてるネ。きっと」 無理矢理銀時を買い物に行かせた二人だったが、なんだか手持ちぶたさでダラダラと 時間をつぶしてしまっていた。 時刻は4時をさそうとしている。 新八はもう何度も時計とフスマを交互に見ていた。 「・・・・・・」 「大丈夫ヨ新八。私ガツンと言っといたから、銀ちゃんお通ちゃん買ってくるネ」 「・・・・・・ちなみに何て言ったの?」 「おめっ甲斐性なしのマダオがぁ、手ぶらで帰ってみろぉ二度と帰れなくしてやるゾ」 「・・・・・・銀さんよく怒らなかったね;」 「平気ネ」 『なあ神楽、新八が内職してるって本当かよっ;』 「・・・・・・新八は嫌になったりしないアルか?」 「?、何が?」 「なんでもないアル」 「ああ!?レアCDだぁ??」 「はい。ファンクラブ会員特別販売のレアCDです。何件CDショップへ行っても、 というか何所にも売ってません」 はあっ?あいつ、んなこたぁ 一言も言ってなかったぞ。 何? このまま帰るに帰れねぇじゃん! 「お通ちゃんだぜぇ。誰か持ってねぇのかよ〜」 夕暮れ時、銀時はトボトボとバイクを引きづり歩いていた。 あれから、道行く人に「お通ちゃんレアCD」を尋ねては歩いて来たのだ。 そろそろ世帯は夕飯時だ。 あれっちょっとまて、俺って朝から何も食ってねぇぇじゃん! 「新八ィ〜今晩のおかずはなんだぁ〜〜くそう〜」 『お昼にしましょうねっね』 「お昼にしとけば良かったよ。本当・・・」 なんでこうなったんだっけ・・・? ああ、そうだ。神楽が変な番組を見ててだな〜 キキキッ〜! 「お?」 ドッカーン!! 銀時がふっとんだ。バイクに轢かれて。横道から突然飛び出して来たのだ。 「ああっもう!!今日は厄日だっ! どこ見て走ってやがる!」 銀時が飛び起きた目の前には、散乱した荷物と神楽程の体格の小さいおっさんが 倒れていた。 「ゆっ夕刊がっ ハァハァ・・・間に合わねぇハァハァ・・・ブッフゥッ、あっ血が・・・」 バッタリ 「おいおい、大丈夫かよおっさん!」 「ん?どっかで見たような・・・」

☆後編へGO!☆







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