13日早朝。燐は珍しくも自力で目を覚ましていた。
もうすぐ雪男が朝飯を食べて上ってくる。コート着たらすぐ行っちゃうから
チャンスは一瞬!
ドアが開く音が聞こえた。案の定すぐにもコートに手を伸ばす雪男。
燐はもそりと布団から這い出して。
「雪男・・・」
「!えっ?兄さん起きてたの?何?具合悪い?」
「違う。」
「ふーん珍しい・・・じゃあ僕行くから。」
雪男はドアノブに手を掛けた。
「あっあのな・・・」
「何?」
「お前・・・チョコケーキとか食う?」
「何?急に?別に、あれば食べるけど・・・?」
「そっそうか!ワカッタ!じゃあな。」
燐は突如弾けたような笑顔を雪男に見せた。
「・・・・?何?って、えっ?って・・・えっ!?」
雪男の澄ました顔が崩れる。気づいた燐は慌てて背中を押した。
「いいから!早く行けよっ!」
「えっ?ちょっ!兄さんが作るのか?!」
「いいからっ!」
燐は無理矢理雪男を押し出し、ドアを閉めた。
「よかったなーりん!」
一部始終を見守ってたクロが布団から顔を上げる。
「ああ、一ヶ月前から買ってた材料が無駄にならないぞ!」
燐は両手を挙げて回転した。クロも周りを飛び跳ねた。
「チョコケーキたのしみだぁ!」
「へへっ今日は早く帰らねぇと!」
差し込んできた朝日に燐は笑顔を照らした。
おわる。
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